視界180度、船も陸地も見えない南の海が窓の外に広がります。海の名前を言うなら北太平洋。視界の向こうは南、やがて、フィリピン、インドネシア、オーストラリア大陸へとつながります。

　もともとは、別荘として一戸建から始まったというリゾートホテルです。今回は、その本体となる別荘での時間を楽しみました。光栄です。畏れ多い先輩たちは、もろもろの雑事から離れ、一人の時間をご希望。逆らえない後輩は、お殿様のご寝所のような格天井の空間で「夜ぼっち」となりました。連日、あいにくの曇り空でも、庭は、芙蓉、ランタナ、赤色系ハイビスカスが盛りです。花の気持ちにならなければ、手入れはままならない。花はこのリゾートの見どころの一つです。素敵です。建物、水、歩道がつくる曲線、高低と面に富んだ花のあふれた理想の住空間。香りの演出にも、拍手。

珊瑚のカケラと赤エンドウ

　庭伝いに下りる海岸の岩場は、流れ着いた珊瑚と貝殻で覆われた天然の玉砂利です。ハマエンドウが咲いています。先輩たちは、なぜか不思議な集中力で、珊瑚や何かの破片を探しています。

　島には、物産も多く、充実した野菜マーケットがあります。アロエベラは、皮をむいて、お刺身のように切って食べるのでしょうか。島の外に持ち出していいものと、いけないものがあるようです。紅芋はいけない、みかんはいい、でも苗木は駄目というように。

宮古上布の模様

　物産中、天下無双は 古酒と宮古上布です。上布は、この上なく軽く、丈夫。男性の夏物をこしらえても、その任務にびくともへたらなかったと思います。素晴らしい。町の中のじゅーしー付の宮古島そばが美味しいです。材料は同じようですが、味は店の個性が出ているようです。家庭的な味のように思われた店は、中庭に琉球石灰石でこしらえたテーブルと椅子を置いていました。

　海岸伝いに、開発中のビーチまで歩きました。コンクリートの歩道ができていますが、意志強固な先輩たちは、歩道の切れたその先、岩場を回って「あの入江まで」といいます。こんな所で転んだら、傷だらけになること間違いなしの岩場を、果敢に攻めます。ああ、ついて行けません。岩場に咲いているのはアゼトウナです。入江はとっても素敵でしたので、その情熱に納得しました。ですが、ここでも、先輩たちは、あの、不思議な集中力を発揮して珊瑚のカケラかなにかを探し始めます。

　私には未知の精神領域、妖怪散歩です。