「墓場の鬼太郎と目玉オヤジ」千代紙は手書きの友禅下絵「朝顔」

　鬼太郎は嵐の夜、墓場で生まれています。両親は今の人類の一つ前の「残りかす」とされ。母は幽霊に近い身分のお方、父はとける病にかかって目玉だけが残りました。鬼太郎は何かの事故で左目を失っています。ふたつあった父の目玉の一つから生まれたのではありません。

　父は、目玉だけとなっても、鬼太郎を立派な妖怪に養育する使命を負っています。鬼太郎の母は、足はあるようですが、目蓋の腫れ、手の構えなどは『四谷怪談』の「お岩」ににた姿です。日本の幽霊の型。着物は、死に装束の左前を守っています。灰色。別の項でご紹介しますが、石になった「児啼き爺」も灰色です。命がふきこまれて、やさしく美しい母になることもあるのでしょうか。

　鬼太郎と目玉オヤジは、物語の世界を生きます。そこは、さまざまな妖怪の住む世界。何らかの「領域」を侵さんとする「邪悪」との戦いの世界。人間も時に「領域」に触れ、その世界に侵入することになります。鬼太郎と目玉オヤジはいくつかの形で表現されています。

　「岩の上の鬼太郎」「オカリナを吹く鬼太郎」「あぐらの鬼太郎」「空を見る鬼太郎」「お化けナイターの鬼太郎」。鬼太郎が学生服の上に着ている「ちゃんちゃんこ」は第1期人類幽霊族の祖先の霊毛でできているとされます。一人がなくなるとき、ただ一本の毛を残すとされ、それを編んでありますので、たいへんな超能力をひめたちゃんちゃんこです。リモコン下駄、妖気計、舌縄、指鉄砲など、武器を持たなくとも鬼太郎の身体は武装体です。

　目玉オヤジは「サーフィンする目玉オヤジ」「下駄に乗る目玉オヤジ」「木の葉舟の目玉オヤジ」「お椀風呂の目玉オヤジ」です。いずれもおっとり、のんびりの癒し系です。

「一反木綿と目玉オヤジ」千代紙は「雲に龍」　

　鬼太郎には仲間がいます。別の意味での鬼太郎ファミリー、「アイドル」です。

　なずみ男、ねこ娘、砂掛け婆、児啼き爺、一反木綿が活躍します。

このページの設置日：2015/5/5
このページの最新更新日時：2015/5/5
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